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重量・床衝撃音用の『緩衝マット』の開発 その2…『緩衝マット11・ケナフ』

この開発は、前回に上げた、本来必要な『重量・床衝撃音』と、名目で社会的に標準になってしまった、『軽量・衝撃音』の矛盾を相克するため、考え、開発した『緩衝マット』です。
そもそも、以前にいた会社で、1年で2m以上に成長する植物「ケナフ」の繊維で、エコロジーなものとして作ったフェルトと遮音ゴムを貼り合わせた防音マットを、「音」としての意味を持たせるため、作り直したマットです。
先ず、「ケナフ・フェルト」は二次加工をして、反発力を強化し、遮音ゴムは、肝心の振動を吸収する『制振』能力があるゴム『遮音制振ゴム』に取り換えました。
2009年のことです。

120808-3
その結果、公的な試験所の試験では、上にフローリング厚9㎜を敷いた場合、LL-42 (軽量)、LH-49 (重量)という結果でした。
軽量のLL-42は、ランクに直すとLL-40レベルということになります。
裏にスポンジを貼った、直貼りフローリングではLL-40という商品はありますが、間に敷く方法のマットでは、画期的なことだった、ようです。
LL-40フローリング+新マット-2

この商品は、某健康商品会社から販売されていて、今でもよく売れているようです。

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重量・床衝撃音用の『緩衝マット』の開発 その1…『緩衝マット9』

マンションの管理規約の中には、必ず「L-40以上の性能がある、床材を使用すること」というような、文言があります。
「L-40」というのは、「LL-40」の略で、建築学会でいうところの『軽量・床衝撃音』の性能のことを表しています。
『軽量・床衝撃音』の試験方法は、1920年代に発明され、1948年に「タッピング・マシン」として、国際標準とされました。そのタッピング・マシンは、重さ500グラム、直径3㎝の円筒形の鋼材を、4㎝の高さから落とし、下階で40デシベルに聴える性能を、「LL-40」としています。写真のような、器具です。
タッピング・マシン

世界ではこの器具による試験を「床衝撃音試験」としていますが、日本ではこれを「軽量・床衝撃音試験」としています。日本にはもう一つ、「重量・床衝撃音試験」が存在しています。軽量と重量の基準が別々にあるのは、日本だけです。
日本の住宅は、木造と土足でない文化で、床の剛性を高くする必要がなかったため、と考えられます。
実際に日本では、建築基準法は床の厚さは12㎝以上、という基準しか無く、現実に当初建てられたマンションの床厚は12㎝が、ほとんどでした。
ヨーロッパでは、組積造、土足の文化からか、200・300年前では、床厚1m以上もある建物も存在します。現在の鉄筋コンクリートー造の建物でも、25㎝以上がほとんどです。
「タッピング・マシン」と呼ぶのも、ハイヒールでタップする、というところから、名付けられています。

もう一つ、日本の薄い床スラブとヨーロッパの厚い床スラブでは、決定的な違いがあります。
それは、ヨーロッパの床厚が1mもある床では、すべての衝撃が『表層振動』ですが、日本の薄い床スラブでは、軽い衝撃は『表層振動』ですが、重い衝撃は『構造たわみ』になる、という点です。

ボクは「音」の仕事を始めて、20年くらいはなりますが、今でも最も多いご相談は、マンションの上・下階の音の問題です。特に足音、建具などの『固体伝搬音』が原因です。
その原因は、上記の管理規約、「L-40」という規約にある、とボクは考えています。

上記のように、日本のマンションの標準とすべきなのは、「軽量」ではなく、「重量」でなければ、マンションの管理規約の意味がありません。何故そうなったのか?
恐らく標準のマンション管理規約を作成する際、その違いを考慮せず、「軽量」が標準となってしまったのでは?、とボクは考えています。
ボクは一時、マンション学会に入っていて、その疑問をたずねてみましたが、ご存じの方は、みえませんでした。

今現在、日本には「重量・床衝撃音」用の防音材は、見あたりません。
そこで、試行錯誤の上、『緩衝マット』を開発してみました。
その第1号が、下記の『緩衝マット9』です。2007年のことです。
DSC01208-15

衝撃を吸収する、反発力の強い特殊な加工をした白いフェルトに、振動エネルギーを熱エネルギーに換える能力が極めて強い、特殊な黒いゴムを貼り合わせました。
公的な試験所の試験で、上にフローリング厚9㎜を敷いた場合、LL-45 (軽量)、LH-51 (重量) という結果でした。
試験体4 断面(071211)絵

これまで、マンション、保育園などで使って、いただいています。苦情は、ありません。
某大手内装材の会社でも、標準品として、扱っていただいています。

厚さは9㎜、910×910㎜で、設計価格は6,600円/枚、です。

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『吸音』を究めた『消音』の行方 その4…消音・自習室

これまで、『吸音』による徹底的な防音を、『消音』と呼んで、
(1) ワンワン・ハウス
(2) サイレント・ボックス
(3) 消音パーティション・ルーム
と、制作してきました。

『消音』を使う用途・目的によっても、違いましたが、今回4番目の挑戦として、『消音・自習室』を試作してみました。
使用する構成材・枠材は、前回の「消音パーティション・ルーム」と同様、生興(株)さんの、ローパーティション、LPXを使わせていただきました。
このパーティション材の長所は、ワン・アクションで簡単に組み上がっていくことです。
下記の写真の自習室は、2人がかりで10分くらいで、組み上がりました。
消音・自習室、写真
上の写真は、今回試作した、「消音・自習室」。左側はドア無し、右側はドア有りにしてみました。

その「消音性能」は、下記のようになりました。

消音性能 騒音値の図 4

よく見ていただくと、不思議なことに、わずかですが「ドア有り」よりも「ドア無し」の方が、消音性能が、良いのです。
「音」が消える「消音」の原理は、空間に有る音エネルギーを、「消音壁」の吸音材が、強力に『吸音』してくれて、空間が解放されているにもかかわらず、音エネルギーが低減し、『消音』状況が現出する、ということです。
「ドア有り」のガラス面積を大きくした結果、空間に存在する「音」が、ガラスで反射され、室空間の音エネルギーが、増加してしまったため、と考えられます。
この現象は、これまでの世間で常識だった、『遮音』による『防音』とは、まったく逆、です。
『遮音』による『防音』では、とことんスキ間を無くさないと、そのスキ間から、音エネルギーが漏れてしまいます。
『消音』による『防音』では、スキ間、空間がどれだけあろうと、壁の『吸音力』が大きければ、『消音』してしまいます。

試作をすることによって、また新しい“発見”がありました。
この原理を使って、まだまだ、いろいろな用途・分野で、使える、お役に立つことが、できるようです。

音・環境事業のパートナー:『生興(株)』(パーティション部材の供給、消音商品の販売)

音・環境事業のパートナー:『コマツアートデザイン(株)』(消音商品の製作、特殊「音」工事の施工)

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『吸音』を究めた『消音』の行方 その3

前回の『サイレント・ボックス』は、フレームは木製でしたが、経年変化でひび割れ、ねじれが発生、
とても「商品」とは呼べないものであることが、分かってきました。
これまで、段ボール、アルミパイプなどで、試作を重ねてきましたが、いずれも「商品」と呼べるレベルには、たどり着けませんでした。
それならば、原点に返って、既製のパーティションを使わせてもらって、ということになりました。

今回の試作は、「聴かれてはいけない、相談ルーム」というコンセプトで、中に簡単なテーブルとイスが4脚くらい置けるスペースを持った、『消音パーティション』という名称で、生興(株)さまのローパーティション、LPXを使わせていただき、完成させることができました。
161108 5 錦糸町・セイコー祭り
上記の写真は、東京での展示会に出品した『消音パーティション・ルーム』です。

性能は、下記のように、スキ間が多くあるはずの正面ドア側でさえ、100-59=41dB、低減という
信じられないような数値になりました。
消音パーティション H2.2-161108

四面とも、D-40レベル、というスバらしい性能になりました。
体感された人、すべての人が、「何だこれ、全然聴えない!」と、驚いていました。

ともかく、これは『商品』として、売って行けるレベルのものに、なったのかな、と感じています。
さあ、これから。
これを基に、『音楽室』の応用など、いろいろ前が見えてきました。

音・環境事業のパートナー:『生興(株)』(パーティション部材の供給、消音商品の販売)

音・環境事業のパートナー:『コマツアートデザイン(株)』(消音商品の製作、特殊「音」工事の施工)

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『吸音』を究めた、『消音』の行方 その2

「『吸音』を究めた『消音』」の続きです。

前回の『ワンワン・ボックス』、たまたまボックスの中に、頭を突っ込んだところ、扉を開けたままなのに、ほとんど周囲の音が消え、とても静かであることが、分かりました。
いわば『無音』に近い状態でした。

これで自信が付いていたところで、ある大手パーティション・メーカーから、ご紹介があり、去年『サイレント・ボックス』なるものを、造ることになりました。
150918 4s-1280
上の写真が、その『サイレント・ボックス』です。

その『消音性能』は下のグラフのようです。
141120 2M BOX 第1世代 測定 消音性能s-1280
ドアがありません。
これが最新の、Ver.4 になります。
ドアがないのに、この性能。
『遮音性能』と呼ぶより、『消音性能』だろうと思い、そう呼んでいます。

実際には、周囲がいくらうるさくても、中は静か。
それよりも、無音に近い状態になるので、音が消えていて、不思議な感覚になります。
中で、携帯電話をしていても、スッキリ、ハッキリ会話ができました。

恐らく、これだけの消音性能を持っているボックスは、他にないでしょう。
今、弱点になっている、200Hzの消音を、もっと性能を上げようと、壁パネルの中身の変更を企んでいるところです。
200Hzを良く『吸音』する材料・仕様は、見付けております。
今後も、ドンドン進化させて行くつもりです。
乞うご期待!

音・環境事業のパートナー:『コマツアートデザイン(株)』(消音商品の製作、特殊「音」工事の施工)

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『吸音』を究めた、『消音』の行方 その1

今現在、進行中の『音』の開発プロジェクトを、支障のない範囲で、ボツボツとご紹介していこうかな、と思います。

その第1回は、『吸音』を究めた『消音』について、書いてみます。
原理は簡単「音エネルギーを吸収してしまえば、静かになる」ということ。

今から8年前、あるパーティション・メーカーと一緒に、『吸音をメインにした、静かな応接室』を目指したことがありました。

これに至る要因として、
①パーティション工法では、スキ間が必ず多くできる。
②使用する材料、仕上げ材は、鋼板・アルミなどの反射材・遮音材ばかりで、
 室内の音エネルギーが多くなりすぎる。
など、パーティションは、およそ防音に向かない代物、工法である、と考えられていました。

しかし、パーティション工法の利点は多く、
①工期が短い。
②工事が簡単。
③コストが掛からない。
④移設が簡単。
などたくさんあり、市場ではほとんどがパーティション工法による、室空間造りになっています。

しかし、『防音』には向かない。
そこで考えたのが「『吸音』による、静かな空間」造りでした。

結果から言ってしまうと、500Hz以上の中・高音は、30dB以上、低減=消音できましたが、それ以下のの低い音、特に125Hzの落ち込みが激しく、10dB台の消音しかできませんでした。

その一番の原因は、吸音材がウールだけだったこと。
もちろん、グラス・ウールよりも性能がよい、ロック・ウールを使っても、でした。

それでも、中・高音域で30dBも消音できたことは成果で、人の聴感覚で言えば、1/8に聴える、というレベルでした。

とりあえず商品化、という話しになりましたが、経営者の鶴の一声で、中止になりました。
とても、残念でした。
ただ、その時の経験から、それ以上のものにするプランを、ずーっと育んできました。

その後、ある人からの相談で、「ワンちゃんの家はどうだろう?」という話しが出てきて、早速試作することとなりました。
それで、できあがったものが下記の写真です。
             《ワンワン・ボックス》
ワンワン・ボックス
室内は、吸気・排気装置も付け、ワンちゃんの快適さも考慮しました。
性能はなかなかのもので、D-35レベル、
250Hzで、26dB
500Hzで、40dB
1000Hzで、50dB
という性能でした。
もちろん、中のワンちゃんの声は、ほとんど聴えませんでした。
ただ、あまり需要はありませんでしたが・・・

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