マンションの固体伝播音(騒音)の対策

防音業者の中には、「マンションの騒音は、上階からしかあり得ない」とか、「下階から壁を伝わって騒音が上階まで届くことはない」などと、明言する者がいます。
それは間違いです。

ブログにも上げましたが、以前あるマンションで、実験をしたことがあります。
隣接する階・室で、『カカト歩き音』を出してもらい、ある1室でその音を測定する、と言う実験です。
その結果、音が大きかった順は、下記のようになりました。
(1) 直上階の室
(2) 直上階の、もう一つ上の階の室
(3) 直上階の、もう一つ上の階の隣室
(4) 同じ階の隣室
(5) 直上階の、2戸隣の室
(6) 直下階の隣室

一番大きな音だったのは、直上階の室だったのは、確かですが、次に大きい音だったのは、もう一つ上の階の室でした。

その理由は、伝搬経路の影響が、大きいと考えます。
マンションの『カカト歩き音』は、床からコンクリートに伝わり、『固体伝搬』して行きます。
コンクリートの固体伝搬速度は、空気の約15倍、と言われています。
空気の15倍も、コンクリートはよく音を伝えていきます。
『空気伝搬』では、届かないと思われるところにも、音は伝わっています。

その大きさは、
(1) 距離による減衰
(2) 『固体振動』から、『空気振動』に変わりやすいかどうか?
という要素によって、決まってきています。

(2)については、
◇GL壁
◇天井裏の空気層
◇二重床の空気層
などにより、共振共鳴を起こしやすい周波数の音が、増幅して、大きな音になっていきます。
その3カ所の防音対策が、必要になってくることになります。
要するに、『固体伝搬』対策が必要になってきます。

もうひとつ、『カカト歩き音』は、『重量衝撃音』であるのに、マンションの管理規約などは、『軽量衝撃音』対策の『LL-40』の規定になっています。
ここに、なかなか解決が進まない、大きな問題があります。

『天井防音』は、東日本地震以来、天井スラブ(コンクリート)にアンカー・ボルトを打てなくなり、重い防音材が使えなくなりました。そのために、『天井防音』をするためには、柱を立て、梁を通し、それに天井を設けるというような方法しか、採用できなくなりました。
つまり、かなりコストが掛かってしまう、ということになりました。

コストと手間から言えば、もっと簡単に防音ができる方法は、『上階に緩衝材を敷く』という方法になります。最も安く、簡単に、効果の高い方法です。

壁・床については、その周波数・音量・伝搬経路により、対策プランが立てられます。
それによっては、簡易的なDIY防音でも対処可能な場合があります。

ご相談いただければ、先ずは騒音調査、その結果を基に、防音対策プランを作成いたします。


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